引用こわい



thaの新コンテンツ。

引用βについて

引用βとは、それが置かれた文脈を離れてもなお、力を持つ言葉をシェアし、リスペクトすることを目的としたサービスです。引用文の集積のみでユーザーのイルなセンスが試される過酷な戦場でもある。

このコンテンツの場合、他人の文章を自分の文章の説明として用いるわけじゃないから“引用”とは違うよね、ってのは置いておいて・・・。
このように記事や発言の中から、その部分を抜き出してもインパクトのある文章というのは、そうする事でなお力を増したり、威厳を持ったりするんですよね。なぜなら前後が見えないから。
でも前後が見えないってのは逆に怖かったりするんですよね、本来必要な文脈が省略されていたり、またありもしない状況を読者に想像させてしまったりするから。

たとえば、水泳の北島康介選手が2004年のアテネ五輪男子平泳ぎ100メートルで金メダルを獲得した時に発した言葉、「チョー気持ちいい」はその年の流行語大賞にも選ばれましたが、これが「名言」として認識されるのは、発言者の北島選手が努力と練習を重ね、オリンピックで金メダルを獲得したという、そこまでの過程を皆知っているからなんですよね。
前後を知らされず、唐突に「北島さんが『チョー気持ちいい』と言いました」だけだったら、ナニしてたんだ北島さんって話ですからね。

また、前後の文脈を敢えて隠す事で、逆に悪い意味に印象が変化してしまったりもしますよね
たとえば、柳沢厚生大臣(当時)の『産む機械発言』などが思い出されます。
全文を通して見れば、人権無視でも差別的意図があったわけでもない事は誰でもわかるのですが、その一語だけを抜き出す事であっという間に、誰が見ても『女性軽視』発言に姿を変えてしまいました。(いつの間にか「女性は産む機械」と、言ってない単語が接頭されていたのはさておき・・・)

そういうわけで、僕は「文章を抜き出す」というのは怖いことだなーなんて、引用βを見て思ったわけです。
けど、引用された文章のアーカイブを遡りながら見ていく内に、ある文章に、ふと目がとまりました。

思いつきに理論武装を加えるという、
最もたちの悪い人間です。

これを見たとき、僕は「ははぁんほほぉん、さては現代アートへの批判だな」と思いました
そこで、原文を見に言ってみると、それは「ウゴウゴルーガ」のチーフディレクターだった福原伸治氏が自身を揶揄して言った言葉でした。(引用元:ほぼ日刊イトイ新聞 – みんな大好き、ウゴウゴルーガ!
ウェブの最たる特徴である「ハイパーリンク」により原文を参照する事ができた僕は、この引用に対して正しい認識を得ることができたわけです。

「引用」というのは、その使い方次第で原文作者や元の発言者の印象すら、がらりと変えてしまいます。
しかし、原文や元の発言の全体を把握することができれば、引用による誤解というのはかなり減るでしょう。
テキスト主体のブログなどを書かれている方は、引用する機会も多いのではないかと思いますが、その引用が誤解の元にならないよう、また、引用元の意図しない印象を与えないよう、引用元へのリンクを貼るなどで、極力正確な情報を伝える「健全な」テキスト文化をウェブに創っていって頂きたいなと思います。

そう言って男は引用をペロリと食べてしまった。
「おい、お前の本当にこわいものはなんだ!?」
「今度は濃〜いはてブがこわい」

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